M邸 庭つくり



  (正面から・工事前)          (正面から・工事後)

  (平面図・工事前)           (平面図・工事後)
 工事前は、洋風の建築にドーンと門かぶりの松がそびえたち、独特な風格を漂わせていました。門を入ると、地植え・鉢植えの色とりどりの小さな植物たちがお迎えしてくれます。
 縁あって庭のデザインをさせて頂くことになったのですが、工事前、お客様は次の点を気にされていました。
  ・松と建物および小植物(バラなど)のなじみ具合が気になる
  ・東側のマキがかなり道路にはみ出している
  ・東側の草取りがたいへん
  ・小植物のまとまりがない
  ・西側が道路から丸見えでちょっと落ち着かない

 たしかに、松と洋風の建物、小植物たちは、それぞれが自己を主張しており、それはそれで面白いのですが、全体としては雑多な印象もうけます。  あと、私としては、外観の全体の重みとして、中心に比べて東側の角が少し弱いかな・・・という感じがしました。

 奥様は園芸がお好きで、それはそれは色々な植物を植えて楽しんでいらっしゃいます・・・そして、水やりはご主人の朝の日課だそうです。
 色々なお話をうかがう中で、うかんできたコンセプトは・・・

 「 器の大きな庭 」・・・庭を「 ひとつの器 」「 キャンパス 」としてとらえ、その中でのびのびと庭仕事や園芸を楽しめる場所にする。キャンパスからはみだしてしまうような遊びがあっても、おおらかに、全体として何となくまとまるよう、どっしりと骨格をすえる

 この方向で進めていくことになりました
 松については、
 @ 洋風建築にしっくりくる主木にとりかえる
 A 仕立て方をかえ、自然な樹形の仕立てにして、ゆっくりとなじませていく
 という二つの提案から選んでいただきました。
 ・・・やはり長年植わっていた愛着ある松だけに、だいぶ迷っておられましたが、思い切って、「主木交換」・・・という運びになりました。

  (南西から・工事前)          (南西から・工事後)
 東側にはフェンスを新設、目隠しとともに、自由に鉢をひっかけて楽しむことができます。そして、このフェンスで外観の全体としてのバランスをとっています。

  (西から・工事前)          (西から・工事後)

 東側で道路にはみ出していたマキは、西側にスッキリと(なんとか?)おさまりました。  玉のバランスがよく、小ぶりながらもいいマキで、何とか残したかったのでホッとしました。
 和風の植物・添景物はすべて西側にスッキリとおさめました。回りから見ても、これらは木々にかくされて、「洋風」の風合いをくずすことはありません。西側の縁側から眺める景色だけが、和風の景観となります。


  (西側フェンス取り付け)       (モッコウバラが茂ってきた)

 西側は丸見えなのが少し気になるようでしたので、小さなフェンスを取り付け、モッコウバラを絡ませました。これで、風通しもよく、視線も適度にさえぎられるようになりました。
 フェンスは取り外し・移動や増設も可能で、今後、モッコウバラを自由に伝わせることができます。
 モッコウバラフェンスはしばしば手を入れないとモッサリとしげってしまう、いわば生垣のようなフェンスですが、手入れの手間が気にならなければ、すかし具合を自由に調節でき、見た目も美しく、リーズナブルなすばらしいフェンスです・・・そして春にはかわいらしい花を楽しませてくれます。

  (正面から東・工事前)       (正面から東・工事後)
 工事前、道路にニョッキリ出ていたマキは西側へ引っ越しました。  工事後・・・手前にはバラのつたう黒いオベリスク、奥には白いフェンス・・・このふたつの存在感が、まわりであそぶ小植物にスッキリまとまった印象をあたえてくれます。


(玄関から東・工事前)       (玄関から東・工事後)

 工事前は数多くの小植物でにぎわっていました。
 レンガをしき、花壇をつくり、中央に小道をつくることで、「左と右と奥」と分割して空間にメリハリを与えます。そして、手前にそびえるオベリスクと奥に続く小道が、庭に広がりを与えてくれます。また、地植えスペースは「花壇」として最小限にとどめることで、悩みのタネだった草取りがかなりラクになりました。
 美しいカーブでデザインされた花壇に植物を植えるのは、とても楽しいものです。

 オベリスクは花壇の中の鉢台に固定されています(上に引っぱれば抜くことができます)。
 鉢台のまわりの、ごく小さなスペースに植えられた植物は、なんともいえず可愛らしくみえます。

    (東奥・工事前)          (東奥・工事後)
 東側奥にあったフェンスは、新しくデザインしたフェンスに取替えました・・・世界にひとつだけのオリジナルフェンスです。
そのままでも美しいですが、鉢などをひっかけて楽しむことができます。上部のアーチ状につきでた部分にも鉢などをぶら下げて楽しむことができます。
また、全体の大きさは、建物外観の東側角のおさえとしてバランスがとれるような大きさに設計されています。

 (東より西をのぞむ・工事前)      (東より西をのぞむ・工事後)
 東側から道路をあるくと、白いフェンスと飾られた小植物たちが、はなやいだ気持ちにさせてくれます。
 奥にゆらぐジューンベリーもたおやかです。
 四方、どこからながめても目をたのしませてくれる庭です。

   (ジューンベリー)



 今回、松にかわって庭の主木となったのは、ジューンベリーです。樹形がやさしげで、洋風の建物に映えます。
 春先の白い花も美しく、実もたべられ、紅葉も美しい木です。
 ただ、実は鳥とのとりあいになります。(メジロの声がよく聞けるかも?)



 主木ですが、モミジのあいまからのぞく姿もきれいです。

 こんな花がたくさん咲きます

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